売れっ子ホームページ制作会社の異変
投稿日時:2007/05/03■売れっ子ホームページ制作会社の方針転換
先日、あるホームページ制作会社の社長と会ったら、「もう他社のホームページ制作は止める」と言うのでビックリした。だってこの会社(仮にA社とする)、決して腕が悪いわけではない。それどころかクライアント企業の業績アップ事例も多く、制作依頼は引きも切らない状態だ。なのになぜ?制作を止めるというのか?
そこには、Web制作業にまつわる「悲しい事情」が見え隠れする。
■制作会社の悲しい事情
多くのホームページ制作会社は、企業のホームページ制作を50万円~150万円前後(中にはもっと高いのも)で受注するわけだが、ホームページが完成した後、月額3万~10万円程度でメンテナンスを請負うことが多い。このメンテナンスというのが「くせ者」で、少々の作業なら、まぁ3万円でも折り合えるが、ホームページというのは赤ちゃんと一緒で「オギャア」と生まれてからが一番手がかかるもの。クライアント企業の売上げに貢献しよう!という真面目な制作会社であればあるほど、3万円や5万円程度では、作業ばかりがかさんで人件費もペイできないことが多いのだ。
もっと言うと、発注先のクライアント企業としては、ホームページに小さな不備や使い勝手の悪い部分が見つかるたびに、「ここ直して」とか「ここが使いにくい」と好き勝手に言って来る。それに対して、受注側のホームページ制作会社としては、1ヶ月に3万円や5万円程度の料金で対応できることは限られているが、「制作者の責任」として、オーダーを叶えようと頑張る。ところが、頑張れば頑張るほど、クライアント企業からの要望が強くなり、「エンドレスな泥沼」にはまっていくという事情があるようだ。
■悲しい事情の先に
結果として、クライアント企業が10社、20社と増えてくると、「新規クライアントの制作」よりも「既存クライアントのメンテナンス」で手一杯となる。新規の制作が減れば、当然ながら売り上げが頭打ちになる。それすなわち、経営圧迫と同時に、社員たちのモチベーション低下に繋がっていくのだ。
もちろんこの背景には、制作会社側の「人繰り」や「仕事繰り」といった「運営手腕そのもの」に問題がある部分も否めないが、制作会社のひどく多くが同様の問題を抱えているのを目の当たりにすると、深く考えさせられる。
■企業Aの決断とは
こうした事情から、冒頭の制作企業A社のような「もう他社のWeb制作やーめた!」という会社が出てくるのは自然な流れかもしれない。このA社は今後、他社のホームページ制作を止める代わりに、ビータスなどを使って卸業者から商品を仕入れ、その自社販売をWeb上で展開するという。つまり、自社が確立した「売れる仕組み」を他社のために使うのでなく、「自社のために」使う方針へと転換したのだ。
しかも、有能な会社であればあるほど、上記の考えに至り易いのもまた事実。つまり、優秀な制作会社から1抜け、2抜けしていき、あとに残るのは・・・という可愛そうな状況が起きかねない。そうなると損をするのは、制作を依頼するクライアント企業だ。絵に描いたような悪循環である。
■スピンアウトはどうする?
この事情は、僕たちスピンアウト(カウTV)にとっても他人事ではない。というのも、スピンアウトもA社と似た収益構造を持っているからだ。「映像」というツール(パワー)を使って、“他社の商品販促のお手伝いをする”という形なのだ。
「いい商品だけど売れない」とか「一度使えば良さが分かるんだけど、その最初の購買が起きない」という商品やサービス、人物などのブレイクお手伝いを次々にやってきた。そこには、過去10年以上の映像+Webの経験に基づいて構築した、「消費者の心理感情と商品購買までの流れ」のメカニズムが組み込まれている。
今後そのノウハウを一体誰のために活かすのか?
ホント、A社の方針転換は他人事ではない。
(Y.TAKAHASHI2007年5月3日)
■今日の行動
GW4連休の初日、家族で「博多どんたく」へ。自宅から徒歩10分と近いが、さすがはGW全国1,2を争う人出とあって大賑わい。露天で、お好み焼きとたこ焼きを食べたが、たこ焼きの不味さに閉口。八ちゃん堂の「冷凍たこ焼き」の方が100倍美味しいよ。