香港のレッセフェールと自己責任
投稿日時:2012/12/02直行便だと3.5時間。近いね!

ところで、
香港には「レッセフェール」と呼ばれる自由放任主義、自己責任原則があります。
この自己責任の考え方についてカウテレビでは、2010年に香港支局を開局し徹底取材してきました。それを聞いて僕はひとりの日本人としてショックを覚え、国と国民のあり方を考えさせられました。
レッセフェールとは?ざっくり説明すると、香港では医療・雇用・年金など、日本では「国がやる」のがフツーになっている公共サービスの概念が薄く、その代わりに政府は税金を安く抑え、国民はその分を民間サービスを利用して手当てするのです。
たとえば年金は国に預けるのではなく、各自で民間の保険会社などのサービスを利用する。政府は何をするか?それは、この制度を推進するよう企業経営者に対して指導を行うのみ。こうすることで「小さな政府」と「健全な競争原理」と「賢い国民」の三点セットが育つ、いわゆる「神の見えざる手」が機能するという考え方です。
このレッセフェールの考え方について象徴的だったのが、PRADAアジアや香港の高級スーパーマーケット「シティスーパー」オーナーの荻野社長から聞いたエピソードがです。
「たとえば、自分の息子が会社をクビになったとする。日本なら、そんな会社はけしからん!となるところだが、香港の場合は父親は息子にこう聞く。お前以外の社員もクビになったのか?そうだとすると会社が悪いが、そうでないならお前に問題があるということだ!と。日本は政府の過剰介入によって、高コスト体質に陥っているだけでなく、最も大切な国民の考える力が奪われているように見えます。」荻野氏
僕はこの制度が良い・悪いなどと言うつもりはありません。ただ、今のやや低迷している日本が現状打破に必要なのは「国のせいで」「景気が」と他人任せにして思考を止めるのではなく、僕ら一人一人の国民が自ら考え、賢くなることで初めて打開の道は開けるのだと思うのです。そして、その賢い国民性のヒントがこの「自己責任」というキーワードにあるように思えてなりません。
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(高橋康徳/株式会社カウテレビジョン)