アメリカ同時多発テロから10年。
ついに、首謀者とされたウサマ・ビンラディンが殺された。
そして、アメリカ国民は歓喜・・・というニュースが報じられている。
そのニュースを見ながら僕は
10年前にあのNYで感じた「違和感」を思い出した。
当時僕はフジテレビ系列の報道記者だった。
テロが起きた数日後にNY行きを命じられ、
現地マンハッタン入りしたのはテロ後5日目だった。
WTCのあったグラウンドゼロは瓦礫の山。まだ煙が上っていた。
マンハッタン西岸に設けられた被害者救済センターも取材した。
小泉首相がグラウンドゼロを訪れた時もカメラと一緒に待ち受けた。
そんな毎日の中での、「あのニュース」だった。
テロ発生からしばらく経ち、事態が少しずつ落ち着くにつれ、
世間の関心は現場の惨状から次第に「次」へと移り始めていた。
関心が向かった先は「アメリカ政府の対応、報復か否か?」だった。
そんな中、テロから2週間が経った頃、
アメリカの大手メディアが一斉に「世論調査の結果」を発表した。
『アメリカ国民の大多数がアフガン空爆に賛成している』
3大ネットワークすべて同じ論調だった。
各局それぞれ、賛成国民の割合を「3人に2人」と言ったり、
「60何パーセント」と報じるなど、表現は若干異なっていたが
一様に「空爆容認世論」で共通していた。
そして、このニュースを聞いた僕の率直な感想は、
「マジか?」「そんなはずないやろ・・・」だった。
この違和感の真偽を確かめるべく「街頭インタビュー」を敢行した。
選んだのは「ユニオンスクエア」マンハッタン有数の観光名所。
なぜなら、そこには当時、同時多発テロの追悼施設が設けられており、
多くのニューヨーカーたちが集っている場所だからだった。
インタビューの結果、驚くべき(予想通りの?)結果が得られた。
なんと、取材に応じてくれた約20人のうち「空爆賛成」と答えたのは
わずか1人に過ぎなかったのだ。残りの人々は「反対」か、もしくは
「報復は必要だが空爆ではないのでは?」と、迷っているようだった。
大手メディアが報じた「大多数が空爆に賛成」という調査結果と
僕が聞いた「95%(20人中19人)が空爆に反対」という調査結果。
調査母数の違いがあるので、一概には言えないだろうが、
僕は今でも、あの20人の答えが真実を反映していたと信じている。
※ちなみにアメリカはこの数週間後にアフガン空爆に踏み切った。
※僕のこの現地取材の「違和感」は帰国後、当時の高木Pに報告し、
「よっしゃ!じゃあ高橋の署名番組として一本作れ」と指示が下り、
「取材ノート」というTNCのドキュメンタリー番組で放送させてもらった。
そのサブタイトルは
「激動のニューヨークで、記者高橋康徳が見たアメリカの答え」だった。
・・・あれから10年。
今回の「ビンラディン氏殺害」のニュースと
それに続く「アメリカ国民歓喜」のニュースは、
10年前とまったく同じ違和感を、僕に感じさせている。
TwitterやFacebookを見ているとその受け止め方は様々なようだ。
・NYや東海岸と西海岸では受け止め方が違う。・ラディンは911、そして、以降のイラク、アフガニスタンの象徴。・全米中が狂喜していたという報道は実態を映していないと思う。そう、答えは1つではない。
要は、あなたがどう感じるか?ではないだろうか。
・・・最後に、
あの時、取材させていただいたテロで夫を亡くしたジェシカさんの言葉を
ここで紹介します。
「彼らは飢えているのよ。落とすなら爆弾ではなくパンを落とすべき。
だって、憎しみからは、憎しみしか生まれてこないのだから・・・」
(
高橋康徳/株式会社カウテレビジョン)
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